「コンクリートより人への投資」を掲げる鳩山政権であるが、アホウ太郎の置き土産である09年度補正予算の執行停止額は3兆円に近づいている。
その中で、前原大臣が八ツ場ダムなどミュージカル省直轄及び水資源機構所管のダムについて段階を進めることを凍結したが、その一つに中部地方整備局所管の設楽ダム計画がある。
この設楽ダムというのは、愛知県東三河地域の渇水対策、治水対策などを主目的に北設楽郡設楽町を流れる豊川に建設を計画しているダムである。
このダムに関しては、1971年に予備調査を開始し計画がスタートしたものの、例によって例の如く、地元から猛反発を受け計画が遅々として進まなかった。
しかも、当初は総貯水量8000万トンで計画を進め地元にも伝えていたが、96年7月に突然1億トンに計画変更したためスッタモンダした経緯がある。
そうして、今年2月にようやく設楽町長、県知事、中部地整局長が「設楽ダム建設同意に関する協定書」に調印し、建設がスタートする運びとなった!
ところが、建設を決める前提となった費用効果便益(B/C)の算出で水増し疑惑がある事が判明した!
(以下、引用開始その1)
設楽ダム事業評価水増し 建設費分を流水維持効果として計上
国土交通省が計画している設楽ダム(愛知県設楽町、9800万トン)の妥当性を示す「費用対効果」の算出をめぐり、豊川の水量を維持する環境保全の名目で建設事業費とほぼ同額を便益効果として計上、事業効率の数値を高めていたことが、本紙の調べで分かった。同じ算出手法は他のダムにも使われている。前原誠司国交相がダム事業の見直しに踏み込む中、議論を呼ぶことになりそうだ。
費用対効果は、事業で得られる便益の試算額を建設と維持管理費の支出合計で割った値。国の公共事業は「1」を超える必要があり、国交省中部地方整備局(名古屋市)によると、設楽ダムは今年2月の事業評価で「2・8」と公表している。
便益の試算額で「治水」(3230億円)に次いで大きいのが「流水の正常な機能の維持」(1269億円)。国交省は10年に1度の渇水時でも川が枯れないよう水を確保し、生き物を守る環境保全の効果と説明するが、実際は効果を計算できないため流水維持に必要な6千万トン級のダム建設費に当たる1269億円を代わりに計上していた。
こうした試算方法は、1997年の河川法改正で環境保全が重視されて以降、ダムの便益効果に幅広く用いられるようになった。しかし、建設費の一部が効果に計上されれば、結果的に費用対効果を押し上げる。
国交省によると、流水維持効果を建設費で代用することを公的に裏付けた計算マニュアルや通知はない。同省は環境保全の効果の試算はできないとした上で「水を確保するにはダムでためるしか方法がない。その建設費を効果額とみなすのが妥当」(河川環境課)と主張する。
建設費を支出と効果に二重計上する手法は、農林水産省も用水やダム事業で用いていたが、「費用が効果という理屈はおかしい」との専門家の批判もあり2年前に廃止した。
環境保全を掲げる設楽ダムは、流水維持の水量が貯水量全体の6割を占める。環境保全の効果をゼロと仮定すると、費用対効果は「2・0」に低下。国交省が昨年に本体着工した青森県の津軽ダムは、現行の「1・3」から不採算の「0・6」となる。
設楽ダムは73年に計画発表。農業用水、水道用水、治水などを目的とした国直轄事業で、2020年度に完成予定。

※1洪水予想の被害額から算出
※2ダム建設事業費2070億円のうち国負担から算出
【注】ダム完成から50年分で試算
(以上、中日新聞より引用)----------------------------
(以下、引用開始その2)
環境保全は「へ理屈」 まず「ダムありき」

1200億円相当の環境保全効果をもたらす-。現実離れした国土交通省のお手盛りぶりが明らかになった豊川上流の設楽ダム(愛知県設楽町)。環境を隠れみのに事業の正当性を膨らませていたことに、流域の漁業関係者らは怒りの声を上げた。不明朗な算出手法を根拠に計画されたダム事業は全国に広がっており、建設の是非があらためて問われることになりそうだ。
ダムは山からの砂をせき止め、河床の砂を減らし、川を変ぼうさせる。豊川流域には既に2つのダム、5つの頭首工(取水ダム)が造られ、アユは減る一方。「ダムは自然環境を壊す面の方が大きい。へ理屈だ」。設楽ダムより下流側の愛知県新城市の山口忠利・寒狭川下漁協組合長(72)は国の主張にあきれる。
国が重視するのは、同市の大野頭首工からすぐ下流の区間。渇水時に流れが途切れる「瀬切れ」が起きる。しかし山口さんによれば、ここは既に川が細り、魚が消えた区間。「いまは瀬切れしても、死ぬアユがいない」
アユの保存活動に携わる同市の林道敏さん(61)も正常量を流すという国の「使命感」に迷惑顔。「帳尻を合わせて水量だけ戻しても、かえって水がよどむだけ」
国土交通省中部地方整備局は「これまでが水を取りすぎていた。環境を回復させるためにもダムは必要」と主張。しかし、設楽ダムの建設中止を求める会代表の市野和夫さん(63)=同県豊橋市=は「ダムありきの計算を押し通すために、本末転倒の話になっている」と批判する。
中部地整が作製した設楽ダムのパンフレットには、1989年夏の瀬切れで死んだアユの写真がある。しかし実際にどれだけ被害があったのかは「調べてはいない」という。
◆需要減を穴埋め
設楽ダムの計画貯水量は、当初の目的だった農業用水、水道用水が減った穴を、環境保全という「錦の御旗」で埋めてきた。
計画貯水量が1億トンの大台に乗ったのは1996年。水没戸数が増えるため、当時は設楽町が猛反発した。大半を占めたのが流水維持の容量で、2006年には農業、水道用水の需要が構成比13%まで減ったが、流水維持が同61%まで伸びて規模を支えた。

(以上、中日新聞より引用)-----------------------
ダム官僚どもは、下流の「流水確保」も便益の一つと主張しているようだが、水を堰き止めるダムを建設すれば環境にはマイナス便益に働くのではないか!
それなのに、プラス便益しかも建設費用を計上となるとダムありきの「お手盛り」としか思えない!
今回の設楽ダムの場合、結果的にB/Cが1.0を超えているからまだしも、他のミュージカル省直轄ダムが同じ計算手法で「環境保全効果」を計上しているとなると、やはり全てのダム事業に関しB/Cを算出し直す必要がある!
いずれにせよ、官僚主導の旧政権下で計画が策定されてきた数々の大型公共事業が、需要予測などを多めに見積もり結果として大赤字を生み出した例は枚挙に遑がない!
四季の美にあふれた日本の国土をコンクリートだらけにしてしまった旧政権等シロアリ勢力の罪を断罪するためにも、鳩山政権は大型公共事業を徹底して見直すべきだ!

