先の総選挙後、初の本格的な論戦の場となった第173回臨時国会だが、鳩山首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が30日に終了し、いよいよ週明け2日からは予算委員会に戦場が移行する。
さて代表質問において、ダム利権を死守したいシロアリジミンやナンミョー煎餅などは、マニフェストに基づいて八ツ場ダムなどを中止しようとする鳩山政権の姿勢を「政治主導という名の政治暴走」と批判した。
これに関し、八ツ場ダムや川辺川ダムなど直轄ダムの見直しを実行に移した前原大臣は、「砂が貯まって浚渫をしなくてはいけないものが出てきている。或いは砂が貯まることによって土砂が海に供給されずに護岸等の浸食が、海岸等の浸食が起きてそして護岸工事にもお金をかけなければいけない。様々な公共事業が公共事業を生む。」などとダム建設が及ぼす悪影響について明言している。
前原大臣が言うように、確かにダム建設による堆砂の問題は全国で深刻な問題を引き起こしているのも事実である。
例えば、天竜川水系に関して言えば、ウミガメ産卵地として有名な中田島砂丘は、天竜川による砂の供給が激減して年5mのスピードで海岸線の後退が進行する一方、佐久間ダムは無策で200年放置すればダム湖が完全に土砂で埋まると予測されるという事態を生じている。
その為、中田島砂丘については砂の流出を防ぐ為の堆砂垣を設置するなどの対策が打たれているものの焼け石に水である。また一方の佐久間ダムについては、堆砂除去などを目的とする「佐久間ダム再開発事業」が進行中である。
さらに、現在堆砂率84%の泰阜ダムは、1961年6月に発生した「三六災害」による長野県伊那谷での災害を拡大させた要因ともいわれている。
確かに、治水面や利水面で必要なダムはあるのかも知れない。だがその一方でダム建設は、何時までも経っても関連事業が完結せず、自然環境の破壊など多くの災厄をもたらすものである。
さて、北海道日高地域の沙流川に二風谷ダムというダムがある。このダムは、沙流川総合開発事業の一環として建設された1998年から運用開始された多目的ダムであるとともに、アイヌ民族にとっての聖地と言える場所を水没させるため、故萱野茂参院議員を中心とした反対運動で有名になったダムである。
ところが、そこまでして建設を強行した二風谷ダムが、運用開始後僅か10年余りで堆砂率が4割を超えていたことが判明したようだ!
(以下、引用開始)
二風谷ダム:土砂で4割埋まる 北海道開発局調べ
北海道日高管内平取町の二風谷ダムで上流からの土砂の堆積(たいせき)が進み、総貯水容量(3150万立方メートル)の4割以上にあたる約1307 万立方メートル(08年11月時点)に達していることが、北海道開発局の調べで分かった。当初計画は、総堆積量を100年で550万立方メートルと想定し ていた。98年4月の運用開始からわずか10年余りで、その2倍以上にも及んでいる。開発局は「安全性に問題はない」として、当面推移を見守る方針だ。
開発局河川管理課によると、二風谷ダムの建設計画にあたっては、流入する土砂の総堆積量を他地域の既存ダムなどのデータをもとに試算した。しか し、台風などの影響で堆積するペースが想定より大幅に速まり、03年には100年分の予測量を超える769万立方メートルに達した。
このため、07年には予測量の上方修正を余儀なくされ、当初計画の2.6倍の1430万立方メートルに変更。その後も流入はおさまらず、08年11月時点では約1307万立方メートルと予測量の91.4%となった。
総貯水容量に占める割合は41.5%。開発局が管理する他のダム13基の中で最も高いのは十勝ダム(84年完成)の3.7%、次いで桂沢ダム(57年完成)3.6%で、二風谷ダムの数値は突出している。
これに伴い、ダムがためることのできる水の量は当初計画よりも減少。今後も堆積が続けば、土砂の除去などの対策が必要になる可能性がある。しか し、河川管理課は「堆積した土砂の形態は、水を排出するときに一緒に流れ出すと推定される。ダム本体の安全性に問題はないので、早急な措置は考えていな い」としている。
これに対し、新党日本代表の田中康夫衆院議員が今月23日に現地を視察した際に同行した今本博健・京都大学名誉教授(河川工学)は「砂の流入が激しいためダムの治水機能は数年後に失われる」と問題点を指摘した。
二風谷ダムは国の直轄ダム。沙流川(全長102キロ)の利水や発電などを目的に「沙流川総合開発」の一環として計画された。約20キロさかのぼっ た支流の額平川には、セットで計画された「平取ダム」が建設中だが、前原誠司国土交通相は事業凍結を打ち出している。総事業費は1313億円。

土砂の流入が激しい二風谷ダム。ダム湖にできた浅瀬には雑木が茂っている
(以上、毎日jpより引用)-------------------------------
やれやれ、運用開始から僅か10年余でダム湖の堆砂率4割超とはな!これは03年8月に発生した台風10号による日高豪雨の影響が大きいのであろうが、あまりにも極端だし酷いと言わざるをえない!
これには、シロアリジミン政権下で推し進められた植生を無視した植林など、林業政策の破綻も影響しているのではないか!
確かにこの調子で堆砂が進めば、あと10年もすればダム湖が砂で覆い尽くされ、治水機能が喪失するとの今本博健・京大名誉教授名誉教授の指摘はもっともである。
一方、「安全性に問題はない」とするダムを管理する北海道開発局の考えは甘すぎるのではないか!
いずれにせよ、このまま事態が推移すれば、二風谷ダムに対する堆砂対策事業の必要性は高まるばかりである。その一方で、砂の供給が止まった海岸線の後退対策として、離岸提などが必要になるのでは全く持って話にならない!
これまで、我が国では約2800基もののダムが存在し、計画中建設中のダムも大小約300基も存在している。
だが、八ツ場ダムに代表されるように、整備効果が疑わしい事業も数多あると言って良い!
そうであるならば、本体未着工のダムについては、整備効果や自然環境に与える影響などを徹底的に再検証すべきだ!

