イキナリ化学の話で恐縮だが、原子番号33、元素記号でAsの物質といえば、生物に対する毒性が強く発ガン性も確認されているヒ素である。
このヒ素という物質、農薬やシロアリ駆除にも利用され、ヨーロッパでは要人暗殺に用いられた。そして我が国においては、1955年に発生した森永ヒ素ミルク中毒事件や98年の和歌山毒物カレー事件で有名になった物質である。
そして、そのヒ素が八ツ場ダムで全国的に有名となった吾妻川で環境基準を大幅に上回る値で検出され、しかもそのデータをミュージカル省が隠蔽していたことが発覚した!
(以下、引用開始)
八ツ場上流、ヒ素検出を公表せず 国交省
八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設予定地の利根川水系の吾妻川とその支流で、国土交通省が少なくとも93年以降、環境基準を超えるヒ素を毎年検出しながら、調査結果を公表していなかったことが朝日新聞社の調べでわかった。下流で取水する飲用水の水質に影響する結果ではないが、ダム建設の是非に影響しかねないとみた国交省が、データの公表を避けて計画を進めていた。
国交省は昨年12月から政権交代直前まで、非公表の第三者機関「八ツ場ダム環境検討委員会」を設け、ダム建設が水質や自然環境に与える影響を検 討。朝日新聞社は「八ツ場ダム 環境保全への取り組み」と題した報告書を入手した。非公表とされてきた水質データが記されている。
ヒ素は自然界に広く分布し、火山の岩盤や温泉水には高濃度で含まれる。環境基本法に基づく河川の水のヒ素の環境基準は1リットル当たり0.05ミリグラムだったが、世界保健機関がヒ素の発がん性を懸念して厳格化。日本でも93年から同0.01ミリグラムに強化された。
報告書によると、草津温泉を流れる湯川や、酸性の水質を改善するために設置された品木ダムの放水口、八ツ場ダム建設予定地から約10キロ上流の 貝瀬地点では86年度以降、ヒ素濃度が高く、基準が強化された93年度以降は基準を上回っていた。08年度の平均値は湯川で基準の約100倍、品木ダムの放水口で約10倍、貝瀬地点で5倍を記録した。
吾妻川の水質は、草津白根山系の硫黄鉱山からしみ出す水や草津温泉からの水が流入して酸性が強い。1952年に計画が浮上した八ツ場ダムも、コン クリートが溶けることを理由に一度は断念された。だが、63~65年に、強酸性を改善するための中和工場や品木ダムが造られ、湯川など上流の三つの川に石灰液を投入して中和化が進められ、八ツ場ダム計画が復活した。
環境省によると、環境基準は政府としての目標値で、基準を超えても国や自治体に法的な改善義務は生じないが、環境基本法は改善に努力するよう義務づけている。しかし、国交省はこうした事態を公表せず、封印していた。
吾妻川とその支流の水は飲み水には使用されておらず、国交省は「下流に流れるにつれて他の河川と合流するなどしてヒ素は薄まる。ダムでは沈殿するため、 下流の利根川での取水で健康被害の心配はない」としている。報告書を作成した環境検討委も、八ツ場ダム完成後は「(下流部での)ヒ素濃度は下がる」と予測 している。
水質調査の結果を長年、非公表としてきた理由について、国交省は「ヒ素の数値が出ると、観光や農業、漁業など流域の幅広い産業に風評被害が起きる可能性があったため」と説明する。
環境検討委は今年3月までに3回開催され、8月には報告書を公表する予定だったが、総選挙の時期とも重なり、基準を上回るヒ素の公表が、ダム建設 の是非にどのような影響を与えるかを巡って検討委や省内の調整作業が難航。4回目の開催は9月に延びたが、結局、政権交代で八ツ場ダム自体が中止の方向と なり、4回目の会合は開催されていない。
国交省は報告書の存在を認めた上で、「まだ検討段階のもので、最終結論を得たわけではない。今後、公表するかどうかは未定」としている。


(以上、asahi.comより引用)-------------------------------
確かにこのようなデータを総選挙前に公表していたりしたら、その時点で八ツ場ダム事業がそのものが吹っ飛びかねない。それを関東地方整備局も理解していたからこそ、非公式でこそこそと調査しデータを隠蔽したのであろう!
そのような姑息な関東地方整備局の姿勢は糾弾されて然るべきであり、速やかに水質データを全面公開すべきだが、現時点で吾妻川の水は飲料水に利用されていないのは事実である。
だが、八ツ場ダムが完成の暁には下流域の住民の飲料水としても利用される計画なのだ!
現に、建設強硬派の急先鋒たる上田埼玉県知事などは、「ダムができなければ河川の取水が厳しく制限され、将来にわたり県営水道水の供給は不安定な状態のままにならざるを得ない」と県議会で明言している。
だが、今回明らかになったデータを見てもまだ6知事どもは八ツ場ダムの水を飲料用として供給させるつもりなのか!
先のエントリで紹介したように、八ツ場ダムの治水効果については眉唾物であることをミュージカル省河川局長が認めている。
そこへ来て、環境基準を超えるヒ素が検出されていた明らかになった以上、八ツ場ダムを建設する意義は全く無くなったと断言して良い!
ダム利権で懐が潤う1都5県の知事や地元の長野原町や東吾妻町の町長などは、ダム建設ありきの姿勢を崩していない。
だが、破綻寸前の国家財政、ダムによって失われる景観、そして治水利水ともに意義が無い八ツ場ダムなど絶対に建設させてはならない!

